給湯器Q&A
給湯器のドレン排水とは?垂れ流してもいいのか解説

給湯器から出る「ドレン排水」は、エコジョーズなどの高効率給湯器を使う際に発生する結露水のことです。
本来は酸性度が高いため、そのまま垂れ流すと環境や設備を傷める可能性がありますが、エコジョーズには“中和器”が搭載されており、排出前に中性化される仕組みになっています。
そのため、基本的には安全に排水できますが、排水経路の確保や凍結防止などの注意が必要です。
この記事では、給湯器のドレン排水の仕組みや性質、垂れ流しが可能な条件、そして正しい処理・対策方法まで詳しく解説します。この記事を通して、ドレン排水を正しく理解し、給湯器を安心・安全に使い続けるためのポイントを学びましょう!
目次
給湯器のドレン排水とは

給湯器から排出されるドレン排水は、運転中に発生する「結露水(ドレン水)」のことを指します。
特にエコジョーズのような高効率タイプの給湯器では、熱交換の過程で水蒸気が冷やされ、このドレン水が生じます。
この排水はわずかに酸性を帯びているため、正しい排水経路に流すことが大切です。
そのため、工事時には下水や排水管へ安全に接続し、安心してご使用いただけるように施工を行います。
給湯器のドレン排水は垂れ流してもいいのか?
エコジョーズなどの高効率ガス給湯器から発生するドレン排水は、法的には基本的に垂れ流しが許されています。
その理由は、ドレン排水が給湯器内部の中和器によって酸性から中性へ調整されているためです。この中和処理により、環境への悪影響を抑えた形で排出されることが保証されています。
ただし、注意が必要な点もあります。たとえば、排水経路が適切に確保されていない場合、水が溜まって凍結したり、機器のトラブルを引き起こしたりする恐れがあります。
また、集合住宅やマンションでは、近隣住民とのトラブルを防ぐために、専用の排水経路を事前に設けておくことが重要です。このように、ドレン排水の管理にはいくつかの注意点がありますが、給湯器購入時の設置業者に依頼をしていれば特別な手間はかかりません。
参考:平成24年3月30日 国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道企画課
給湯器のドレン排水の適切な処理方法
給湯器のドレン排水は適切な処理を行うことで、トラブルを回避しつつ環境に配慮できます。
ここで紹介する内容は主に設置業者が意識すべきポイントではありますが、依頼者側も理解しておくことでより安心して依頼することができるでしょう。
戸建ての場合
戸建て住宅の場合、給湯器のドレン排水は建物外部で適切に処理する必要があります。以下では、雨水排水系統や汚水系統を使った具体的な排水方法をご紹介します。
【雨水排水系統】側溝からの排水
側溝を利用した排水は、庭や敷地内にドレン水を滞留させないための有効な方法です。給湯器から排出されるドレン水は中和器で酸性を中和されていますので、側溝に流しても近隣環境に悪影響を及ぼすことはありません。ただし、設置業者による配管処理が適切であることを確認し、排水経路が詰まらないようメンテナンスをすることが大切です。
【雨水排水系統】雨樋からの排水
雨樋を利用してドレン排水を流す方法も広く採用されています。雨樋は雨水を集めて排出するための設備ですが、給湯器のドレン排水も同様に排水可能です。ただし、雨水枡や排水口に接続する際は、中和されたドレン水でも流量の増加で排水能力に影響を及ぼす可能性があるため、設置業者による確認が推奨されています。
【雨水排水系統】雨水枡からの排水
雨水枡に直接給湯器のドレン排水を接続するのも人気の方法です。この方法では、ドレン水が住宅敷地内で直接外部に排出されるため、地面に水が溜まる心配を軽減できます。また、エコジョーズのドレン水はしっかり中和されているため、この処理方法でも環境に悪影響を与えません。ただし、雨水枡の定期的な掃除を行い、詰まり防止を心掛けましょう。
汚水系統からの排水
もう一つの方法は、汚水系統を利用して排水することです。ドレン排水を排水管に直接接続して汚水として流す方法は、確実で使いやすい選択肢です。この場合、施工時に給湯器の中和器が標準的に備わっていれば、特別な変更や工事は不要です。ただし、配管の傾斜などが不適切だと詰まりが発生する可能性があるため、設置業者に確認してもらうことが重要です。
集合住宅の場合
集合住宅の場合、一般的にベランダを経由してドレン水を側溝まで流す方法があります。この場合、ベランダに排水口が装備されていることが重要です。給湯器から排出されたドレン水を中和させ、その後ベランダに設置された排水口を介して排水路につなげます。この方法では、水量が急増しない限りは簡易的な工事のみで対応可能です。
三方弁切り替えによる浴室排水経路からの排水
三方弁式の切り替え機構を使用し、浪費なくドレン排水を効率的に浴室の排水口へ導く方法です。
この仕組みは非常に効率的ですが、切り替え部分のスムーズな動作を定期確認する必要があります。
また、浴室排水の流れが悪い場合は逆流の原因となりうる点を注意しましょう。
給湯器のドレン排水が凍結した場合の対処法

寒冷地や厳冬期には、給湯器のドレン排水が凍結してしまうことがあります。
ここでは、凍結時に最も安全で効果的な対処法について解説します。以下では、自分でできる対応方法に関する詳細をご紹介します。
自然解凍を待つ
給湯器のドレン排水が凍結した場合、最も安全で一般的な対処法は自然解凍を待つことです。
凍結した部分に余計な力を加えず、外気温の上昇とともに氷が自然に溶けるのを待つ方法は、配管や機器にダメージを与えないため安心です。
特にエコジョーズなどの省エネタイプの給湯器は内部機構が精密で、無理に熱を加えたり力を加えると故障のリスクが高まります。
自然解凍を促すためには、給湯器周辺を日が当たる場所に移動させたり、周囲の遮蔽物を取り除いて解凍しやすい環境を整えることが効果的です。
また、この方法は特別な道具やコストがかからないため、誰でも簡単に行える対処法としても推奨されています。
ぬるま湯をかける
もし早急に解決が必要であれば、ぬるま湯をかける方法もあります。
ただし、注意点として、いきなり熱湯をかけると配管の破損や急激な温度変化による故障の原因になるため避けてください。
適温は30~40℃程度が安全です。また、直接かけるのではなく、タオルで凍結部分を覆い、その上からぬるま湯をゆっくりかけると氷だけを効率的に溶かすことができます。
このタオルの使用は、熱が急激に配管に伝わるのを和らげる役割を果たし、配管の保護に役立ちます。
また、この方法で凍結が解消したら、次回同じ問題が起こらないよう、保温対策や配管凍結防止ヒーターの設置検討をおすすめします。
やかんくん
ドレン排水って、ただの水かと思ってたポけど、実はちょっと気をつけないといけないんだポね!
きゅうとうきくん
エコジョーズから出るドレン水は酸性だから、ちゃんと中和してから排水しないと配管を傷めたり、周囲に影響が出ることもあるんだよ。
やかんくん
なるほどポ〜!じゃあ、垂れ流しは基本OKでも、排水ルートや環境をちゃんと考えるのが大事ポね!
きゅうとうきくん
その通り!特にマンションなんかでは、共用部分への配慮も必要だから、設置業者に相談して正しく処理するのが安心だよ。
やかんくん
凍結のときも無理に熱湯をかけちゃダメポ!ぬるま湯でゆっくり溶かすのがポイントだポ!


