給湯器Q&A
給湯器の法定点検とは?点検内容と必要性や注意点までやさしく解説

給湯器は私たちの生活に欠かせない設備ですが、長年使い続けると経年劣化による故障や安全面での懸念が生じることもあります。
そこで重要となるのが「法定点検」です。法定点検は、安全に機器を使い続けるために設けられた制度で、一定の使用年数を迎えた製品に対して実施されます。
とはいえ、「点検を受けないとどうなるの?」「無料点検って本当に安全?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、給湯器の法定点検の内容やその必要性、費用の目安、無料点検を装った悪質業者への対処法まで、安心して給湯器を使用するために知っておきたい情報を詳しく解説します。
目次
給湯器の法定点検とは
給湯器の法定点検とは、経済産業省が定めた「長期使用製品安全点検制度」に基づいて実施される点検です。
この点検は、安全性確保を目的としており、特定のガス給湯器や石油給湯器などが対象となります。主に給湯器の製造から9~11年を経過した機器が点検対象です。
点検では、設置状況や配管の漏れ、各機能の正常動作を確認することが主な内容として行われます。この法定点検はメーカーから所有者に通知が送られた後に合意のもとで実施されます。
給湯器の法定点検の内容
給湯器の法定点検では、石油給湯器を対象に省令で定められた基準とメーカー独自の基準を組み合わせ、約30項目の詳細な点検が行われます。
その一部として、以下の内容が含まれます。
- ガス漏れの有無の確認
- 排気ダクトの状態チェック
- 燃焼状態の確認
- 点火装置の動作確認
- 給湯温度の安定性確認
- 配管の漏れや劣化チェック
- 安全装置の動作確認
他にも設置条件や周囲環境の確認などが行われ、トラブルを未然に防ぐことを目的としています。
点検作業は40~60分程度が目安となり、特定の劣化に応じた対応が重要です。
給湯器の法定点検の必要性
一般的に給湯器の寿命は約10年とされています。
法定点検は、給湯器の製造から9~11年後に実施されるため、寿命に差し掛かったタイミングで点検を受けることで、不具合や故障のリスクを未然に防ぐことができます。
不具合が見つかった場合、修理を試みても完全に性能が戻らないことがあるため、交換を検討する必要があるケースも多いです。
そのため法定点検は、給湯器の安全な使用だけでなく、寿命に応じた次のステップを決定する重要な機会でもあります。
給湯器の法定点検の費用
給湯器の法定点検は有料です。
費用はメーカーごとに異なりますが、目安として数千円から一万円程度が相場となります。
点検費用には、点検作業や出張料が含まれます。
ただし、対象給湯器の種類によって費用が多少異なる場合があるため、事前確認が重要です。
また、法定点検を受けることで、点検結果に基づいた修理や交換の早急な対応が可能になります。点検の詳細や費用については、メーカーまたはサービス提供元に相談することをおすすめします。
給湯器の無料点検には要注意

給湯器の無料点検を謳う訪問業者には注意が必要です。
近年、「無料で点検します」という名目で訪問し、高額な修理や交換を強引に進めるトラブルが増加しています。
特に、「自治体から委託を受けた」と偽るケースや、不必要な修理や新品購入を迫られる事例が報告されています。2023年には、国民生活センターから注意喚起も出されており、不審な勧誘には応じないことが推奨されています。
法定点検はガス給湯器など一部機種に限られ、費用や時期も明確に定められていますので、怪しい業者に相談せず、必ず公式なメーカーや信頼できる業者に確認してください。
また、契約を急かされた際には、一度冷静になり検討することが肝要です。
クーリング・オフ制度なども活用し、不当な取引から身を守りましょう。
給湯器メーカー独自の「あんしん点検」と法定点検の違い
法定点検と混同されやすいのが、メーカーが独自に提供する「あんしん点検」です。ここでは両者の違いを整理し、それぞれの特徴や目的について解説します。
「あんしん点検」はガス給湯器も対象
給湯器メーカーが提供する「あんしん点検」は、ガス給湯器やガス湯沸し器など、多様な機種を対象にしている点が特徴です。
一方、法定点検は経済産業省の「長期使用製品安全点検制度」に基づき、屋内設置型や特定の製品だけを対象としています。法定点検では主に9〜11年目の点検が義務づけられていますが、「あんしん点検」は対象機器の種類に関係なく、メーカーによる幅広いサポートが可能です。
そのため、より柔軟な対応を求める利用者にとって、相談しやすいサービスだといえます。
「あんしん点検」はいつでも点検可能
「あんしん点検」は、法定点検と異なり、給湯器の使用期間に関係なく実施可能です。
例えば、法定点検は給湯器が製造されてから9〜11年目に行うことが基本ですが、「あんしん点検」では点検時期の縛りがないため、生活スタイルや給湯器の利用状況に応じて柔軟に点検を依頼できます。
また、法定点検が不定期であるのに対して、「あんしん点検」はユーザーが必要だと判断したときに相談できるという点でも利便性に優れています。
特に修理や交換を検討している場合にも頼れる内容となっています。
給湯器のセルフ点検方法
メーカーによる点検だけでなく、ご家庭で日常的に行える簡易点検も大切です。ここでは、ご自身で実施できるチェックポイントを具体的にご紹介いたします。
給湯器の外観チェックを行う
給湯器の外観は、日常的に確認できる点検ポイントの一つです。
まず、給湯器本体に汚れやサビが付着していないかを確認しましょう。
汚れがひどい場合は適切な清掃を行い、サビの発生が見られる場合は劣化の可能性がありますので、給湯器の交換業者やメーカーに相談することを推奨します。
また、周囲に可燃物がないかも重要です。特にガス給湯器の場合、火災を防止するために十分な安全距離を確保してください。
外観点検は、修理や交換が必要かどうかの早期発見につながるため、定期的に行うことが望ましいです。
給水や配管部分の点検
給水管や配管部分の適切な動作も重要なセルフ点検ポイントです。
まず、配管に水漏れがないか手で触れるか目視で確認してください。もし、濡れていたり、管から滴が落ちている場合は配管の劣化が進んでいる可能性があります。
特に給湯器の寿命が10年を超えている場合は注意が必要で、不具合があれば修理や交換を早急に検討してください。
また、給水の勢いが弱かったり、異音が聞こえる場合も不具合の兆候である可能性があります。
こうした症状を放置すると大きな故障につながるため、給湯器の交換業者やメーカーに相談することをおすすめします。
点火装置および操作パネルの動作確認
給湯器の点火装置と操作パネルが正常に動作しているかを確認することも重要です。
操作パネルを操作した際にボタンが押しづらい、表示が不明瞭、またはエラーコードが出ている場合は故障のサインかもしれません。
また、湯を出した際に給湯器がスムーズに点火するかどうかもチェックしてください。ガス給湯器では点火不良が事故につながる恐れもあるため、不具合があれば使用を中止し、プロフェッショナルな点検を受けることをおすすめします。
これらの動作確認を習慣化することで、急なトラブルの予防や寿命を延ばすことにつながります。
まとめ
給湯器の法定点検は、製造から9〜11年が対象期間とされていますが、この時期は給湯器の寿命と重なることが多いです。
一般的に給湯器の寿命は約10年とされており、故障や不具合が発生しやすくなるため、点検結果次第では修理が必要になることもあります。
ただ、修理をしてもその後すぐに別部分で不具合が出る場合も多く、効率的な運用を考えると交換を検討すべきタイミングです。
特に、最新の給湯器は従来機種に比べ省エネ性能が向上しており、ガスや電気代の節約が期待できます。
点検や寿命到来のサインを見逃さず、安心して使用できる新しい機器への切り替えをおすすめします。給湯器の交換に関しては各メーカーや給湯器の交換業者へ早めに相談するとよいでしょう。
やかんくん
給湯器の法定点検って、聞いただけだとちょっと難しく感じるポ…
きゅうとうきくん
大丈夫。法定点検は、製造から9〜11年経った給湯器を対象に、安全確認のために行う点検なんだ。
やかんくん
へぇ〜、点検では何を見るポ?
きゅうとうきくん
ガス漏れや排気、点火装置の動作とか、安全に関わる30項目くらいをしっかり確認するんだよ。
やかんくん
なるほどポ!でも費用は高いんじゃないポ?
きゅうとうきくん
メーカーにもよるけど、だいたい数千円から1万円くらい。長く安心して使うためには必要な出費なんだ。怪しい訪問業者に頼むと高額請求されることもあるから、必ずメーカーや信頼できる業者に相談しよう。
やかんくん
あと、法定点検と“あんしん点検”って違うポ?
きゅうとうきくん
うん。法定点検は9〜11年目に行う義務的な点検。“あんしん点検”はメーカー独自のサービスで、時期に関係なく相談できる柔軟な点検なんだ。
やかんくん
わかったポ!つまり、点検はちゃんと受けて、安全に給湯器を使い続けるのが大事ってことだポ!